同じコースに立つ二人の射手を思い浮かべてほしい。一人目はきれいに撃った。弾着はすべて中心、ただし急がない。二人目は倍の速さで駆け抜けたが、弾痕の半分は端に流れた。この二人、どちらが上手く撃ったのか。目では判じられない。一方は時間で精度を買い、もう一方は精度で時間を買ったのだ。実用射撃には、この二人を公平に裁く物差し、一つの共通の尺度が必要だった。その尺度がHit Factorだ。
Hit Factorとは
Hit Factor の計算はこれ以上ないほど単純だ。コースで取った得点をすべて、それを撃ち終えるのにかかった時間で割る。
Hit Factor = 得点 / 時間(秒)出てくるのは「一秒あたりの得点」、つまり結果を生み出す速度だ。100点を20秒で取る射手は一秒あたり5点、その成績は5.0。同じ射手が25秒かければもう4.0になる。得点は同じでも数字は低い。それに余計な時間がかかったからだ。
妙味はこうだ。ふだんは逆方向に引き合う二つのこと、どれだけ当てたかと、どれだけ速かったかが、一つの数字に合流する。どちらか一方だけがこの数字ではない。示すのは両者の融合だ。だからこそ、まるで違う撃ち方をする射手どうしを比べられる。
なぜ最も正確な人でも最も速い人でも勝てないのか
初心者はたいてい、実用射撃は速さがすべてだと思い込んでいる。そこから例の典型的な誤りが生まれる。何を犠牲にしても加速し、ただ速くなろうとする。Hit Factorはその賭けを殺す。速さが散布に変わった瞬間、得点はテンポが上がるより速く落ち、数字は下がる。
逆の偏りもましではない。弾痕を一発ずつど真ん中に打ち込むことはできる。だが一発ごとに止まってサイトに見とれていれば、時間は伸び、同じ数字は下へ滑る。遅くて丁寧な射撃と、速くて雑な射撃は、一点で出会う。同じ数字だ。遅く撃って決して外さない射手と、速く撒いて外す射手は、近いところに落ち着く。
ここにこの競技の本質がすべて隠れている。勝つのは最も正確な者でも最も速い者でもなく、自分の均衡点を見つけた者だ。精度がまだ保てる限界のテンポである。数字はその点を容赦なく示す。極端への一歩は、速さであれ慎重さであれ、数字を押し下げる。
得点はどこから来るのか
数字が公平であるためには、弾着の価値がそれぞれ違わねばならない。実用射撃の標的はいくつかの得点ゾーンに分かれている。中心のAlphaは5点、それを囲むCharlieは4点か3点、最も外のDeltaは2点か1点。CharlieとDeltaの数字の差は弾薬の威力で決まる(競技ではこれがMajorとMinorだ)。だが自宅のドライでは考えなくていい。実弾はないのだから、Alphaを狙えばいい。どのみち5点だ。ゾーンとpopperの詳しい解説は、IPSCターゲットについての別記事にある。
さて、この単純な割り算を公正な裁き手に変えるもの、罰点の話だ。ミスは無得点で済まない。点を奪う。マイナス10だ。撃ってはいけない「人質」、白いno-shoot標的に当てても同じだけ引かれる。この負の点は、合計を時間で割る前に、合計から差し引かれる。
その大きさを味わってほしい。Alpha一つはプラス5、ミス一回はマイナス10。つまり一回のミスが完璧な弾着二つを一挙に打ち消し、あなたをマイナスへ引きずり込む。だから数字は、急いで外す者を、ただもたつく者よりはるかに厳しく罰する。遅い射手が失うのは数字の端数、ミスした射手が失うのは塊だ。
Hit Factorは射手のあいだで得点をどう配分するか
ここまでは一人分の数字を計算してきた。だがその本当の仕事は、射手が大勢いるときに始まる。まさにそうやって、誰が勝ったかを決めるのだ。
こう動く。どのステージにも固有の重みがある。それが配れる得点の上限だ。その満点まるごとを、最高のHit Factorを出した者が取る。彼がステージの勝者で、成績は百パーセント。ほかの全員は、自分の取った得点でではなく、首位に対する割合で払われる。あなたの数字を勝者の数字で割る、それがあなたの取るステージ得点の割合だ。
数字を入れてみよう。ステージが100点だとする。勝者のHit Factorは6.0、100点をまるごと取る。あなたのは4.5。4.5を6.0で割ると0.75、あなたはこのステージから75点を持ち帰る。数字で四分の一遅れれば、得点の四分の一が足りなくなる。
そこから、初心者を戸惑わせる結論が出る。絶対値だけではほとんど何も語らない。5はいいのか悪いのか。ステージ次第、隣の5たち次第だ。近くて大きい標的なら8.0でも弱いことがあり、遠くて小さい標的なら3.0でも勝つことがある。それは常に比較の中で読まれる。それを伸ばす意味は、きれいな数字に届くことではなく、他人が自分のを伸ばすより速く伸ばすことにある。
計算してみよう
単純な課題を取ろう。一つの標的に六発、射手それぞれに自分の流儀がある。
几帳面な射手は六発すべてをAlphaに入れる。それは30点、ただしそれに5秒かける。彼のHit Factorは、30割る5で6.0。きれいだが、のんびりだ。
中くらいの射手も落ち着いているが、少しだけ緩い。Alphaが四つとCharlieが二つ、それは20足す8、合計28点、4秒で。彼の数字は、28割る4で7.0。命中はやや劣るのに、几帳面な射手より上手く撃った。一秒を稼ぎ、しかも何も壊さなかった。
そして、すべては速さだと決めた者だ。Alphaが五つとミスが一つ、しかしわずか3秒。数えよう。25点マイナス罰点10で15、3で割って5.0。三人で最も速い者が最下位になった。一回のミスが彼を落ち着いた几帳面な射手の下へ突き落とした。奪ったのがAlpha一つではなく二つだったからだ。
三つの数字に、教訓のすべてが凝縮されている。速さは数字を持ち上げる。ただし、それが命中を犠牲にし始めるまでだ。始まった瞬間、数字は崩れ、誤りが粗いほど激しく崩れる。この算術では、ミスがあなたに起こりうる最も高価な出来事だ。
自宅で自分のHit Factorを測る方法
この数字は二つの半分で生きていて、どちらも自宅で取れる。時間はタイマーが与える。クリックとクリックの間のスプリット、一回ぶんの総時間、parタイマーの合図での締め切り、これらはすべてドライファイアで明確に、正直に見える部分だ。精度は区分けした標的が与える。airsoftのレプリカで練習すればBB弾は本当にゾーンに落ちるし、実銃や空気銃でドライを撃つなら、クリックの瞬間にフロントサイトがどこにあったかを見る。Alphaか、それとももうCharlieへ滑ったか。
二つの半分を一つの数字にまとめること、それがappに内蔵されたHit Factor計算機の役目だ。動きは、いま見たあの公式そのままだ。Alphaに何発、Charlieに何発、Deltaに何発落ちたかを打ち込み、一回ぶんの時間を秒で入れ、MajorとMinorを切り替える、すると数字が出る。暗算はいらない。計算機がゾーンごとに得点を配り、自分で時間で割る。
これこそ、夜の「寝る前にカチカチ」を測れる訓練に変えるものだ。計算されないうちは、進歩は感覚で当てずっぽうするしかなく、感覚は嘘をつく。計算されれば、それはあなたが騙せない一つの数字になる。先週より高いか、そうでないかだ。心持ちではなく数字で進歩を測る、それが自宅でのこの数字の役目だ。
何が自宅で仕上がり、何が射場で仕上がるか
境目について正直に言う。自宅で本当に仕上がるのは半分だけ、つまり速さだ。抜き、トランジション、トリガーの仕事、一回ぶんの時間。そしてあなたは最も大切なことを身につける。自分の射撃を、「うまくいったっぽい」という心地よい感覚ではなく、一つの数字として見ることだ。
もう半分、標的の実弾の穴は、射場で生きる。そこで数えるのは目分量の見積もりではなく、標的紙の本物の穴だ。実際の命中を伴う完全な Hit Factor は、射座の上で、教練の目の下でしか組み上がらない。自宅の稽古は射場の代わりにならないし、張り合いもしない。それは別のことをする。あなたを稽古の場へ、すでに速く、すでに正直な数字で自分を測る習慣を持って連れて行く。射場の高い時間が、テンポの習得ではなく射撃に注がれるように。
